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◼ 無居住(空き家)家屋対策 その2 「空き家バンク」

執筆者の写真: 村野 栄一村野 栄一

前回は、長野県佐久市の無住居家屋の現状を書きました。今回はその対策の1つとして、空き家バンクを行政として具体に取り組んでいる事例を取り上げます。

佐久市では移住交流推進課として位置づけ、課長、係長、会計年度任用職員2人(移住者)体制で担当しております。制度は2008年に開始して、空き家の有効活用と、移住者への住宅需要の対応です。簡単に示すと、空き家所有者に物件を登録してもらい、現地調査や連絡調整などを行い、その情報を空き家バンクサイトで提供をするなど直接型や、宅建協会に依頼する間接型の2方式があります。

2020年度までの実績として、成約件数は574件ありますが、2015年がピークで82件あった成約件数は、階段状に減少し2020年度では26件です。その背景には、空き家バンク導入後の改正があり、10のチェックポイントを満たす空き家のみが掲載される方式に変更されました。例えば、駐車場があることや、事故物件でないこと、別荘物件や災害特別警戒区域でない、大掛かりなリフォームが必要ないことなどが主な例であります。

トップランナーとして継続にあたり課題は、登録物件の減少や、空き家持ち主や身内との調整、市職員のスキルの問題などです。


移住者の変化もあるようで、以前は田舎暮らしなど一軒家志向でリタイヤ組などの移住が多く見受けられましたが、現在は、30代や40代の子育て中の方が目立ち、住まいの傾向も、一軒家を探すというより、近所との煩わしさは避けて、利便性がよい地域を求める傾向があるようです。

具体な例として、市内にある私立で人気小学校の、科目ごとの時間割なく、学びに必要な「会話」「遊び」「仕事(学習)」「催し」の4つの活動を循環させながら、学びを進めていくスタイルのイエナプラン教育の学校のために、父親は移住せず、母子移住なども目立つようでありますが、この地域は仕事先が少なく、新幹線では70分で都心と結ばれますが、冬は氷点下10度にもなる気候であることもあげられます。

 前回と今回の佐久市の例から地域課題に対して行政が行うべきことは、行政が直接的に関わることで、借主も貸主も安心のお墨付きがありますが、ある程度改善し、一定量に到達したあとは、補助金などの具体的な方策を示さないと、推進できず、配置職員の費用が負担となる傾向になります。

そう考えると、不動産業界とのタイアップの間の行政の役割を再検討していくことが必要であり、本来の最低限の役割である危険な空き家をつくらないように、指導していくことに注力していくことが、最善の方法なのかもしれません。

 
 
 

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