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執筆者の写真村野 栄一

▪日本人の働き方

令和元年5月25日

(公財)日本生産性本部は、OECD データベース等をもとに公表している「労働生産性の国際比較 2018」を昨年12月に発表した。生産性向上で日本の時間当たり労働生産性は 4,733円で、OECD 加盟36カ国中20位。米国は7,169円なので、3分の2程度であり、カナダ5,348円や英国5,328円をやや下回るくらいの水準である。

この状況を改善するためには業務の効率化をすすめるだけでなく、新しいサービスや製品を生み出して付加価値を獲得することが重要である。規制緩和も必要不可欠な手段とも言える。日本はデフレ期において金額の圧縮には務めてきたものの、世界的企業の誘致や、金融、不動産、鉄鋼業で成功している企業があるアイルランドやルクセンブルクは生産性が群を抜いて高い。例ではあるが、アメリカにおいても生産性向上にITを駆使してウーバーのような仕組みを開発している。

しかし教育・社会福祉サービスをみると、主要先進7カ国全てで長期停滞傾向が続いている。1990年代後半からの各国の労働生産性上昇率は-0.1~+0.7%の幅に収まっている。介護などの社会福祉サービスや教育は公的サービスの色彩が強く、付加価値を拡大して生産性を上げるように事業者が取り組むことは他の事業分野ほど容易ではないためであろう。

アメリカと日本の仕事への考え方という話のなかで、アメリカはスペシャリストを要請する配置で仕事をさせ、日本はゼネラリストを要請するように配置転換していくという話を聞いた。スペシャリストというのは専門性をもって結果を出す人たち「〇〇の仕事なら、彼/彼女に頼めばよい」そうキャリアを積んでいく。闇雲に3年毎に配置転換されたら、10年後になって関連移動先は多くはあるが、専門的な知識を多くもつ相手に対応ができるか、はなはだ疑問が残る。

しかし複数の専門性をまたがったような検討や意思決定を行う役割が求められる部長級にはゼネラリストである必要がある。課長になりたての時点では、多くの課長が自分自身の専門性に基づき、プレイングマネジャーとして目の前の結果を出すことに全力を尽くす。その結果として、組織の育成が早期に図られると考えられる。

働き方改革という号令のもと、時間短縮をはかり、生産性を向上させて時間単位あたりの単価を上げるためには、基盤は維持しつつ、社会制度や機構・組織などをあらため変えることが今求められている。

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