子どもを追い迷める親からの虐待には、食事などを与えないネグレストや性的虐待、体的虐待に加え、心理的虐待が含まれます。前者の3つは特異な例と思われがちですが、後者の心理的虐待は、日常の中でつい言ってしまうこともあります。
例えば、兄弟姉妹間で比較をする言動や「お前なんか生まれてこなければよかった」という発言、過度なスポーツの強要などがそれに当たります。これらは「子どものため」という思いのもと、親自身の不満を解決するために使われることもあります。その言葉は、子どもの心に深く刺さり、「何で自分は生きているのか」と自己嫌悪に陥るような心理状態にさせる可能性があるのです。
研究によると、小学一年生3,000人を対象に調査を行った結果、不適切な言葉を使う親の子は、他人を思いやる気持ちが少ないという結果が出たそうです。また、言葉の虐待の影響が大きく表れるのは前頭葉が発達する16歳から17歳の間だとも言われています。
このような子どもへの言葉の影響を防ぐためにも、日ごろから子どもとのコミュニケーションを大切にし、親としての実力は3割程度で良いと考える心構えも重要だとされています。
また、外部の機関として「ポジティブ・ディシプリン」(子どもの権利の原則に基づき、 子どものすこやかな発達や効果的な子育てに関する研究成果を反映させて開発されたプログラム)や親子関係支援センターなどの機関があり、親以外の保護要因から学ぶ機会を持つことも可能です。
市では子どもの居場所づくりを進めていますが、結局のところ親の考え方に変化がないと、虐待までとはいかなくとも、子どもの心理的ストレスは無くならないと感じます。さらに、居場所には「マスター」(親以外の大人)が居て、安心と安全な場を提供してもらえるだけでなく、必要なときに情報やサポート先を示してくれる仕組みも必要です。
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